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森町教育委員会の加藤です。 今回は鷲ノ木遺跡群について書きたいと思います。 鷲ノ木遺跡ときくと、縄文時代後期の環状列石と竪穴墓域が発見された場所がまず思い浮かぶことでしょう。実はこの他に鷲ノ木地域にはまだいくつかの遺跡があります。遺跡の名前は基本的に地名+数字で表され、同じ地域でいくつかの遺跡がある場合、鷲ノ木1遺跡や鷲ノ木2遺跡というような名前がつけられます。環状列石が発見された鷲ノ木遺跡は平成15年に調査が行われましたが、調査当初は「鷲ノ木5遺跡」という名で調査が行われていました。 鷲ノ木1遺跡は昭和54年に北海道教育委員会の分布調査によって埋蔵文化財包蔵地に搭載されました。その後、平成23~24年に森町教育委員会によって調査が行われました。噴火湾沿岸に近く、遺跡からは縄文時代後期の土坑が1基、そして縄文時代中期・後期の遺物が発見されています。鷲ノ木2遺跡は鷲ノ木1遺跡から桂川を挟んだ対岸に位置しています。現地は湯ノ崎トンネルの上に所在し、旧幕府軍によって築かれた台場跡があります。こちらはまだ発掘調査が行われておらず詳細はわかっていません。トンネルの上に存在するということに鷲ノ木らしさを感じずにはいられません。 上で述べましたが、鷲ノ木遺跡は発掘調査当初は鷲ノ木5遺跡という名前でした。平成18年、国の史跡指定の際に鷲ノ木5遺跡から鷲ノ木遺跡へと名称が変更になり、平成18年以降に後続した発掘調査によって環状列石が発見された台地の東側や、隣接する一段低い台地上に位置している鷲ノ木3遺跡からも環状列石と同じ時期の遺物が広範囲にわたって発見されました。平成24年に鷲ノ木3遺跡も鷲ノ木遺跡に統合されました。 鷲ノ木遺跡は平成15年に高速道路の建設に伴う緊急発掘が行われました。遺跡は桂川の支流である上毛無沢川と下毛無沢川に挟まれた高低差をもつ段丘上に位置しており、高位段丘から縄文時代後期の環状列石と竪穴墓域が発見されました。環状列石の大きさは直径約37mで、北海道内において最大規模の大きさをもっています。環状列石は縄文時代後期に北東北地方にもつくられており、鷲ノ木遺跡は北海道と北東北の交流、そして精神世界の共通性を考えるうえで重要であることから平成18年に国の史跡に指定されました。また、当遺跡はトンネル工法をもって遺跡を残し、高速道路の建設と遺跡の保存を両立させたということでも注目されました。 鷲ノ木遺跡が調査される前に上毛無沢川を挟んだ対岸に位置する、鷲ノ木4・7遺跡が発掘調査されました。この2つの遺跡も高速道路建設に伴って発掘調査が行われています。鷲ノ木4遺跡からは、斜面につくられた多数の土坑群と、斜面のふもとを削って42mにわたって組石が配置された配石遺構、造成されたエリアにつくられたピット群等が確認されています。さらに、注目すべきものに森町のシンボル的存在のイカメシと鷲ノ木遺跡のハイブリットともいえるイカ形土製品が出土しています。イカ形土製品は森町の指定文化財となっています。 このように鷲ノ木4遺跡は、さすが環状列石のご近所さんという様な内容の遺跡です。 鷲ノ木7遺跡からもやはり縄文時代後期の遺物が多く出土しており、桂川周辺はたくさんの人びとが行き来していたことが考えられます。こちらの2つの遺跡は記録保存されており、現在は取り壊されています。 記事を書きながら鷲ノ木遺跡群の凄さを改めて感じます。鷲ノ木遺跡周辺から桂川を下った場所の鷲ノ木1遺跡は環状列石の石を運んだ人たちの痕跡なのでしょうか。想像は膨らむばかりです。 今年で鷲ノ木遺跡が史跡指定を受けてから10年が経ちます。それを記念して、森町発掘調査事務所では特別展「鷲ノ木遺跡と縄文文化」を開催しております。特別展の期間内は土日も会館しておりますので是非いらしてください。
by dounan-museum
| 2016-11-09 00:00
| テーマ「道南の考古学」
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