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厚沢部町郷土資料館の石井です。 厚沢部町郷土資料館の今年のテーマは「観察できる子どもを育てる!!」です。 特に地元厚沢部小学校6年生の「総合的な学習の時間」では、観察とフィールドワークを中心とした縄文学習を進めています。 修学旅行で青森県三内丸山遺跡に行く子どもたちに、自分の目で観察できる力をつけてほしい、というのが先生と学芸員の期待です。 「縄文」の観察眼を鍛える 今回のテーマは縄文土器ではなく、あくまでも「縄文」です。 青森県三内丸山遺跡に行く子どもたちには、「縄文」の観察眼をプレゼントしたいと考えました。 観察のポイントは (1)土器につけられた「縄文」はどんな縄でつくられているか (2)どの方向に転がしてつけられたのか です。 この2つはルールさえ覚えれば、誰にでも判定できます。 後は適切な方法で、「縄文」を「体験」して、観察眼を鍛えればよいのです。 縄文原体のつくり方 縄は繊維を撚ってつくります。 右撚りの繊維を2本組み合わせて左撚りの紐(撚糸)ができます。 左撚りの紐を2本組み合わせて右寄りの縄ができます。 この縄を粘土に押し付けて転がすと「縄文」になります。 縄文原体をつくる まずは子どもたちに縄文原体をつくってもらいました。 縄の材料はなんとティッシュです。 まず、適当な幅にちぎったティッシュでこよりをつくります。 子どもたちにはこよりをつくることもなかなか難しいようでした。 こより状態の縄を「0段の縄」と呼びます。 次に、こよりを半分に折ります。 最初にこよりを右撚りに撚ったので、次は左撚りにします。 2本のこよりをさらにきつく撚ると自然に2本のこよりが絡みあうように左撚りの紐ができていきます。 左寄りの撚 この状態を「1段の縄」と呼びます。 この縄を転がすとこのような文様になります。 (「撚糸文」の記述に誤りがありました。詳しくは本文末尾の註をご覧ください) さらに半分に折ります。 前と同じように2本の紐を撚りながら、右撚りに撚っていきます。 完成しました。 この状態を「2段の縄」と呼びます。 「LR縄文」とよばれるオーソドックスな縄文の原体です。 これを転がすと、このような文様になります。 「2段の縄」は31名中1名 さて、小学校6年生のクラスでは、先生含めて31名が縄文原体作成に挑戦しました。 「0段の縄」(こより)は全員がつくることができましたが、すでにこの段階で子どもたちは限界でした。 次の段階である「1段の縄」を作れたのは5名ほど。 最終的な縄文原体である「2段の縄」がつくれたのは、1名だけでした。 初めてとは思えないほど上手です。 「縄文」を観察する その1「撚りの方向」 さて、完成した縄文原体を観察すると、転がした縄のライン(条といいます)に対して、縄文のツブツブ(節といいます)が右上がりか左上がりかのどちらかになっていることに気づきます。 写真ではツブツブが左上がりになっています。 実は、これが縄を撚った方向を表しています。 ツブツブが左上がり=>右撚りの縄 ツブツブが右上がり=>左撚りの縄 となります。 この法則は不変の法則です。 「縄文」を観察する その2「縄を転がした方向」 使われた縄が右撚りか左撚りかがわかったら、縄を転がした方向もわかります。 縄文原体を転がすと、転がした方向と約45度の角度に縄のライン(条)ができます。 同じ方向に縄を転がした場合、右撚りの縄と左撚りの縄では、縄のラインが約90度異なります。 縄を上から下(または下から上)に転がした時 右撚り=>縄のライン(条)が左上がりになる 左撚り=>縄のラインが右上がりになる ちょっとややこしいのですが、例えば右撚りの縄であることがわかっている場合、自分から見て縄のラインが左上がりになるように土器をおいたときの上下方向に縄を転がして文様をつけているのです。 この法則もまた、不変の法則です。 なお、縄文時代の人びとは、右撚りと左撚りの縄では条の方向が90度違うことを積極的にデザインに取り入れています。 異なる撚りの縄を組み合わせることで下のような矢羽状の文様ができます。 「結束羽状縄文」といいます。 「縄文」体験から縄文土器観察へ 今回の授業では、「観察」にこだわった「縄文」体験をしました。 三内丸山遺跡の土器を飾る縄文がどのような縄でつくられたのか、どうやって転がされたのかを考えながら観察をしてほしいと願っています。 授業で配布した資料はこちらです 「縄文マスターになろう!!」(PDF3.8MB) ダウンロードしてご利用できます。 本文及び写真 は クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。 ©2014石井淳平 註 本文中「撚糸文」と紹介しているのは「無節縄文」とよばれるものです。 「撚糸文」は下の写真のように縄を棒に巻きつけて回転押捺してできる文様です。
by dounan-museum
| 2014-06-23 03:43
| コラムリレー
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Comments(2)
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縄侍
at 2018-09-30 16:05
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ツブツブが左上がり=>右撚りの縄
ツブツブが右上がり=>左撚りの縄 となります。 この法則は不変の法則です。 とありますが、 ツブツブが左上がり=>左撚りの縄=LR ツブツブが右上がり=>右撚りの縄=RL の間違いと思います。 ご確認ください。 解説では、縄を横位において、縦に転がして説明されていますが、できれば縄は縦位において、横に転がした状況を説明されることをお勧めします。山j内清が縄文を観察するときのルールとして決めていることなので、それに沿った解説をお勧めいたします。
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縄侍
at 2018-09-30 16:07
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山j内清=山内清男の間違いです。失礼しました。
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