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八雲町郷土資料館の大谷です。 1月4日は石の日!ということで、八雲町郷土資料館では、石にちなんだ企画展「石器とその原材料展~この石はどこからきたのか」を開催しています。残念ながら石の日は休館日ですが、かわりに1月12日(月・祝)に石の魅力について専門家の加藤氏に語っていただきますので、ぜひご来館ください!12日は祝日で本来ならば休館日ですが、臨時開館いたします。 詳しくは八雲町郷土資料館ホームページへ さて、私たちの周りにはたくさんの鉱物や岩石があることに気がついていますか? 床に使われている石とか、転がっている石が思い浮かびますが、実は携帯電話やテレビといった電化製品にも使われています。食事に使う陶器や磁器の食器も、原材料は粘土です。 そんな現代の私達の身近にある岩石、はるか昔に生きていた縄文時代の人々も利用していました。もちろん電化製品としてではありません。石を加工して、ナイフや矢じり、ハンマーや斧などの生活道具として、またアクセサリーとしても使いました。 石器と一言でいっても、色んな種類の道具があり、それぞれ適した石が違います。 例えば、黒曜石はガラス質で、打ち欠くと鋭い刃をつくることができるため、ナイフや矢じりとして使われました。逆にドングリなどを叩き潰すための敲石(たたきいし)の材料としては不向きで、その材料には安山岩や玄武岩が使われます。斧にするにはアオトラ(緑色岩)が粘り気もあって折れにくいため適していて、アクセサリーの勾玉や小玉には鮮やかな緑色の翡翠が使われます。縄文人は、石の特性を理解した上でいろいろな道具に利用していたのです。 しかも、これらの原材料となる石は八雲町内だけで手に入るわけではありません。黒曜石は赤井川村や白滝、十勝といったところが有名な産地ですし、斧用のアオトラは平取町の額平川沿いでとれます。アクセサリーとしてよく使われる翡翠は、海を渡った新潟県の糸魚川が全国的に有名です。これらの八雲で手に入らない原石は、石が自分で歩いてきてくれないので、人の手によって持ち運ばれていたと考えられます。車も飛行機もない何千年も前に! そもそも、八雲町内で取れる珪質頁岩は、ナイフや矢じりとして使われ、遺跡からたくさん出土しています。しかし、八雲では取れない黒曜石が、同じ用途として利用されている…わざわざ遠くの黒曜石を利用したのは、よりよい材料を求めたこだわりでしょうか? また2000年代に入ってから黒曜石の原産地分析が盛んにおこなわれています。最近では、福島町の館崎遺跡(縄文時代中期)から長野県産の黒曜石で作った矢じりが出土しました。長野県産黒曜石が確認された例としては最も北に位置するとみられています。また同じ遺跡から青森県産の黒曜石も出土しています。北海道に産出する場所があるのに、なぜ本州産の黒曜石がやってきたのか、不思議ですね。 ちなみに、この館崎遺跡の遺物は、現在北海道埋蔵文化財センター(江別市)にて展示されています。長野県産黒曜石もありますよ。さらに、3月1日まで八雲町の野田生1遺跡から出土した注口土器を中心とした展示も行われていますので、こちらも合わせてどーぞ!道指定文化財の赤彩注口土器も公開中です。実はこれをモチーフにしたゆるキャラの「あかぶたちゃん」もあります。 さて、こうやって人間が利用している岩石ですが、どうやってできているのか知っていますか? 気がつきにくいですが、岩石も水と同じように循環しています。 水は、海などから出た水蒸気が雲になって雨として降り、川となってまた海へ循環するというのは、わかりやすいと思います。 岩石は、もっと長い時間をかけて、人の目に触れないところを循環します。 火山などとして地表に現れた岩石が、風化・浸食作用を受けて砕かれ、雨や河川によって海に運ばれて堆積し、堆積岩となります。それがプレートの運動などに伴って地下に引きずり込まれ、圧力や熱を受けて変成岩となります。このとき水が圧力で搾り出され、その水が岩石の溶融(マグマの生成)を助け、マグマがまた火山として地表に戻ってきます。こうやってゆっくりと地球規模で循環している岩石を私達は利用しているのです。 石の一生と、石と人間の関わりを、展示を見たり岩石を触りながら考えてみてください。 企画展は1月18日までとなります。皆様のご来館をお待ちしています!
by dounan-museum
| 2014-12-14 19:03
| コラムリレー
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