カテゴリ
全体 コラムリレー 市立函館博物館 函館市縄文文化交流センター 北海道立函館美術館 函館市北方民族資料館 函館市文学館 五稜郭タワー 函館高田屋嘉兵衛資料館 土方・啄木浪漫館 北海道坂本竜馬記念館 北斗市郷土資料館 松前町郷土資料館 松前藩屋敷 知内町郷土資料館 七飯町歴史館 森町教育委員会 八雲町郷土資料館 福島町教育委員会 江差町郷土資料館 上ノ国町教育委員会 厚沢部町郷土資料館 乙部町公民館郷土資料室 奥尻町教育委員会 大成郷土館 ピリカ旧石器文化館 テーマ「道南の考古学」 テーマ「道南の自然」 テーマ「道南の農業開発の歴史」 テーマ「松浦武四郎が見た江戸時代の道南」 テーマ「道南の美術を知る」 テーマ「幕末維新・箱館戦争」 テーマ「道南のアイヌ」 事務局 未分類 お気に入りブログ
リンク
以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
最新の記事
記事ランキング
画像一覧
|
森町教育委員会の高橋です。今回は文化財の活用をテーマに森町遺跡発掘調査事務所の展示室を紹介します。 森町遺跡発掘調査事務所の展示室は、元は縫製工場であった建物の一室を平成14年から平成19年まで北海道縦貫自動車道路関連遺跡の膨大な出土品の整理作業室として利用し、それら全ての遺跡の調査報告書を完成させた後、この成果公開のために平成20年に整備したものです。 展示室の整備と言っても、天井・壁・床等の設備は既存のままで、展示用ケースやパネル等の展示器具を購入し、それ以外は自前で準備しました。 展示目的は、国史跡鷲ノ木遺跡や関連する町内遺跡の出土品を利用し、鷲ノ木遺跡の環状列石とそれを構築した人々の暮らしについてわかりやすく展示して、子供から大人までの一般の方に縄文文化の内容や価値、そして文化財保護への理解を深めてもらうことです。 展示の中で評判が高いのがジオラマです。道路関連遺跡調査時の調査員達が中心になって製作したものです。 「環状列石のジオラマ」は、現地での一般公開していない時には非常に参考になります。50分の1で詳細にわたり実物を復元しています。環状列石に何気なく姿を見せたかのような動物たちも復元されています。動物はとても小さいですが、これを見た子供達は「あ、○○がいる」「縄文時代にも○○がいたんだ」などの声があり、縄文の環境について気軽に興味を抱いてもらえたように思います。 次に「斜面土坑(穴)のジオラマ」は、一目でこれが何なのかわからない方が多いです。これは鷲ノ木遺跡に隣接した鷲ノ木4遺跡から発見された土坑の復元になります。傾斜角30度以上の斜面に20個以上の縄文時代後期の大きな土坑が造られており、その一つをなかなか上手く復元したものです。平らな地面ではなく傾斜のきつい斜面に造っているため、土坑の形態が斜めに切断した竹の切り口のような形をしていますので、一般的に土坑と言っても違和感があると思います。 この土坑の中に横たわった人(?)を見てびっくりする子供達がいます。斜面土坑の用途ですが、覆土の状態等から推定して貯蔵穴が考えられますが、いくつかはお墓に転用してる可能性もあります。ここではお墓として復元しています。土坑の底から出土した大形の礫を遺体の頭に敷いていたものとみています。 子供達に人気があるのは「縄文土器にさわってみよう」のコーナーです。遺跡から出土した土器片をばら撒くように机に配置し、自由に触ってもらうものです。博物館等の日常で土器を目にする場合は、完形やそれに近いもの、修復・復元した土器がほとんどということで、遺跡からも壊れずに出てくるというイメージをもっている人が結構います。たくさん土器片があるのを見て、どうして壊れてるのかという疑問を抱き、その疑問に対し、この状態で遺跡から発見されることが多いということを知ってもらいます。 さらに土器片を手に取って見る時、よく質問されるのが「注記」です。出土品がいつ、どこの遺跡のどのような場所から出土したといった情報を記載したものが注記だということを説明することで、遺跡を調査することの目的やその方法を知ってもらう機会になります。 森・鷲ノ木ストーンサークル研究会の展示もおもしろいコーナーです。研究会は平成16年鷲ノ木遺跡をはじめ森町周辺の遺跡を調査研究するとともに保護、活用の大切さを広くアピールし、文化的なまちづくりに貢献することを目的として設立されました。 実際に研究会の活動は、鷲ノ木遺跡の現地保存に大きく貢献しました。講演会や勾玉作り体験、縄文の絵コンテストなど、町民や子供達を中心に縄文の素晴らしさを伝える活動を継続しており、そうした活動内容を展示してもらっています。なかでも、鷲ノ木遺跡の保存の経緯などをわかりやすくまとめている研究会の会報は必見です。 このように紹介してみたものの、展示品をただ置いているだけで、キャプションの不備が多くわかりにくい展示だということをわざわざ披露しているだけに見えてきました。改善点をしっかり認識し、わかりやすい展示を心がけたいと思います。 展示室は小学校一クラス(40人)も入ればすぐ満杯で、見学者はとても賑やかに展示を見たり、土器片を触ったりしています。平成20年の展示から何度かにわたり展示替えを行っており、部屋に備え付けの展示設備がないため大きな展示替えも自由に行っています。このような手作りの展示ですが、遺跡の魅力を体感できる場所、情報を継続的に発信できる場所として、出土品等の発掘調査成果を活かしていくことが当展示室の活用方針です。 初めての方も目の肥えた方も、事務所に遊びにきて、気軽に展示の良し悪しなど様々なご意見を聞かせていただければありがたいと思います。 ■森町遺跡発掘調査事務所展示室 ・開館時間 午前9時 ~ 午後4時 ・開館日 平日(臨時休館があるので事前にお問い合わせ下さい。) ・場所 森町字森川町292番地24 ・電話 01374-3-2240 ・入館料 無料 最後にお知らせです。この夏、遺跡発掘調査事務所展示室と鷲ノ木遺跡の環状列石をご案内する見学会を開催します。申し込みが必要なので、興味のある方は森町ホームページまで!
by dounan-museum
| 2015-07-17 22:12
| コラムリレー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||