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厚沢部町土橋自然観察教育林、森林展示館の水本です。 アイヌの民族衣装は、そのししゅうの独特な模様もさることながら、 天然染料を用いた布や糸の色も優しく自然的で、しかし鮮やかで魅力的です。 アイヌは身近な草木などの自然物を天然染料として、繊維を染めていたと言われます。 青森市歴史民俗展示館「稽古館」所蔵 衣服(樹木繊維) (公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構編集「アイヌの工芸―東北のコレクションを中心に―」より引用) そんなアイヌの文化にならい、当館でも時折町内の方にご指導いただきながら草木染め体験を行っています。 アイヌが用いたものと同じものやその他の自然物から染料を抽出して布などを染めます。 今回はアイヌの民族衣装等に用いられた天然染料について、体験談も交えつつお話したいと思います。 ―――――――――― 藍染めにはアイタデの葉を用いる(生葉染めで写真左上のような空色が出る) アイヌが衣装に用いた藍色は、北海道に自生するエゾタイセイから抽出していたという説がありますが、現在は絶滅危惧種となっているのでもちろん使用できません。 そのためアイタデの葉を刻み、水と混ぜて液状にして染料としています。 アイタデは非常に発色がよく、生葉を布におしてたたきつけるだけでもきれいな空色に染まります。 一般的には葉を乾燥させ、発酵させる行程を入れて濃い色を出していますが、葉の量や葉を採取する時期を変えると生葉でももっと深い藍色がでるようです。 黒く変色した外果皮のついたオニグルミの堅果(黒というよりも、写真左上のような濃い茶色が出る) そして黒色にはオニグルミ(アイヌの言葉でニヌム)の外果皮を用いていたといわれています。 上の写真のように既に腐った外果皮は真っ黒です。 この状態の実を手に持ってみると外果皮から色が手にうつってしまう程、こちらも発色が良いです。 実際に染料をつくる際には、まだ緑色でふかふかした状態の外果皮を使用します。 キハダの冬芽(写真左上のような明るめのレモンイエローが出た) 黄色はキハダ(アイヌの言葉でシコロ)の内樹皮を用いていたといわれています。 キハダはその名の通り、外樹皮をはぐと黄色の内樹皮が現れます。 これを乾燥させたのち細かく砕いて煮詰めると黄色の染料ができます。 染料にする前の内樹皮にはしっぷのようなツンとした香りがあり、 なめるととても苦いものの、抜群の胃腸薬としてアイヌも利用していました。 他に赤色としては、当館では赤米やアカソを用いました。 赤米はより鮮やかな赤がでましたが、アカソは茶系の色になりました。 一方アイヌは赤色を抽出するためにイチイ(アイヌの言葉でララマニ)の心材を用いたと言われています。 ちょうど赤茶けたイチイの樹皮のような色が出るようです。 H27.8.16開催の木育フェスにて、草木染め体験で作成したもの これまでいくつかの天然染料で染めをしてみましたが、アイヌの民族衣装のように濃くはっきりと鮮やかな色を出すには、かなり大量の材料と、染料を長時間煮詰めることが必要なようです。 他にも材料の収穫時期や、焙煎液の種類等、少し変わっただけで思い通りの色がでないという事もたくさんあります。 美しい色を出す為にどのような工夫や苦労があったのか、アイヌの生活に思いをはせるのもまた草木染めの魅力です。
by dounan-museum
| 2015-09-22 23:08
| テーマ「道南の美術を知る」
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