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八雲町郷土資料館・木彫り熊資料館の大谷です。 さてみなさん、下の写真のような木彫り熊を見たことがあるでしょうか。 ![]() 「これが木彫り熊!?」と驚かれることも多いこの作風。制作者は、柴崎重行。「熊をモチーフとした芸術家」としても評価されています。 ![]() 柴崎は、明治38年10月2日、八雲町の鉛川で生まれます。若いころから芸術に興味を持って彫刻をしていて、農民美術研究会が徳川農場で立ち上がった時から参加しています。 農民美術研究会とは、徳川農場の農場主徳川義親がスイスから熊を含んだ木彫りの土産品を持ち帰り、それを参考に八雲らしい土産品制作を奨めたことから結成され、第二次世界大戦前の八雲で木彫り熊を中心とした様々な作品を作っていた団体です。そこで日本画家で木彫り熊に日本画の表現を取り入れた十倉金之(号:兼行)や、函館出身の芸術家根本勲(号:土龍)と知り合い、毛を彫った熊でなく、直線的な面だけで構成された熊も彫るようになったようです。 ![]() 特に根本とは親交を深くし、昭和7年には二人で彫刻の本質を探究するべく、道内を放浪します。その中で大自然の力を感じ、それを木彫りに表現できないかと考えるようになります。旅の途中には、弟子屈に住んでいた詩人更科源蔵を訪ね、交流しています。 旅の後、二人で北欧に渡ろうとしますが、家業の牛飼いを継ぐ予定の弟が病気になってしまい、渡航を断念。柴崎は八雲で牛飼いをしながら彫刻を続けますが、戦争前後は木彫り熊から離れ、人物の胸像や牛などを彫刻していました。 再び木彫り熊を彫りだすのは昭和30年ごろから。最初は毛彫りの熊も作っていましたが、次第に手斧で割っただけの面で熊を表現する、冒頭の写真のような「柴崎彫り」の木彫り熊を作りはじめます。制作する場所は森の中で、切り株を台座に彫りました。八雲の街中に下りてくることも稀な、仙人のような生活をしていました。 ![]() ![]() いろいろな人と交流のあった柴崎ですが、山岳画家として有名な坂本直行との縁をご紹介します。 八雲町にあった雪印乳業株式会社の人が坂本に、「八雲で牛飼いをしながら木彫り熊を彫っている人がいるので、農民同志作品を交換してみませんか?」と提案し、坂本が快く受けたことがきっかけです。 坂本からは初冬の日高連峰の油彩四号1点を贈り、柴崎は大小2点のオンコの木彫り熊を贈りました。その木彫り熊を見た坂本は、「じったり馬喰うだったが、俺の方が追い銭を打たねば」と感じたそうです。 その後、坂本は柴崎のアトリエを訪ねるなど、交流がありました。 さて、展示のご案内です。 坂本直行の作品を、10月6日火曜日から八雲町木彫り熊資料館にて展示します。 ![]() 『坂本直行絵画展』と題した、来年の3月27日までのロングラン展示です。 毎月作品を入れ替え、水彩画を中心とした123点の作品を紹介します。 この作品群は、八雲町総合病院に寄贈されたもので、本館棟の建て替えに伴い一度外すことから、資料館でお借りして展示することになりました。病院の外で展示されるのは初です。 この機会に柴崎の木彫り熊と合わせて、ぜひご覧ください。 (敬称は略させていただきました)
by dounan-museum
| 2015-09-29 07:00
| テーマ「道南の美術を知る」
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