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北海道新幹線が開通して半年が経ちました。緑色に輝く車体が道南を走る光景もすっかり馴染んできたようです。あまり知られてないのですが、青函トンネルを抜けて最初に見える北海道、それが知内町です。トンネルを抜けると左側に七ツ岳などの山々を背景にして湯ノ里地区の街なみが広がります。 列車は高架を通り湯の里知内信号場へと向かうのですが、この辺りが遺跡群となっています。トンネルが貫通し、海峡線開通に向けて工事の進んでいた昭和58(1983)年から60年にかけて、湯の里2~6遺跡の発掘調査が行われました。ここからは主に旧石器時代から縄文時代の遺構や遺物が出土しています。 (※湯の里(湯ノ里)の表記については地名や遺跡名、JRの表記に合わせているためひらがなカタカナがまざります) 中でも湯の里4遺跡からは、約2万年前という旧石器時代の墓が見つかっています。中からはかんらん岩製の小玉と垂飾、琥珀製の垂飾といった装身具、石刃、細石刃、石刃核などが出土しています。人骨は出土していませんが、こういった出土状況がカムチャッカ半島のウシュキ遺跡の墓に似ていることから、こちらも墓と考えられています。 そして、この装身具は国内産の材質で作られたのではなく、大陸から渡ってきたものと考えられています。現在でも移動するのに大変な距離ですが、2万年前にすでにモノの流れ、そして人の流れがあったことがわかります。 これらの出土品は、それまで縄文時代までだった墓制の起源を遡らせたこと、北海道と大陸の交渉史を考えるために学術的な価値が高いということで、重要文化財に指定されています。 この墓の出土した場所ですが、道の駅から川側のレールが通っている付近になります。新幹線開業前は海峡線の知内駅がありました。 写真:道の駅(左)と知内駅(平成26年3月)。この付近から日本最古の墓が出土 また、湯の里4遺跡に隣接する湯の里5遺跡からはストーンサークルが見つかっています。ストーンサークルといえば森町の鷲ノ木遺跡のものが有名ですが、知内からも出土しているのです。時期は鷲ノ木と同じ縄文時代後期ですが、湯の里5の方が少し古いと考えられています。二重の輪になっていて、外側の環は直径約6.5メートルほどあります。 今回挙げた最古の墓やストーンサークルは、もうそのままの状態でみることはできません。こうした発掘調査では様々な発見がありますが、同時にそこに残る生活の痕跡は破壊され、二度と元の状態に戻せないということでもあります。新幹線に乗るとあっという間に通り過ぎてしまいますが、2万年もの昔から人の営みがあったことを思い出してもらえれば幸いです。 なお、道の駅しりうちにはこうした過去から現在までの時の流れをモチーフとしたモニュメントがあります。訪れた際は探してみてください。 (なぜ「探さ」なければならないかって?とある建物にいつの間にか隠れてしまったんです。)
by dounan-museum
| 2016-10-31 06:00
| テーマ「道南の考古学」
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