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五稜郭タワーの木村です。 五稜郭内の「兵糧庫」の近く、南西側稜堡の主土塁の内側に、旧幕府軍戦死者を埋葬したとされる盛土があるのは有名です。 これらの埋葬者の氏名を明らかにしたのは、五稜郭の中で「懐旧館」という展示施設を開設運営していた片上楽天。片上が著した『五稜郭史』、大正14年に増補出版した第四版に於いて、大正元年から同七年にかけて「一意専念調査研究に従事し」、「確信」を得たとして以下の記述があります。(以下、引用文の箇所の送り仮名は原文のまま、又、読み易さを考え、適宜、新字体の使用、スペースの挿入、改行を行っています。) ![]() 五稜郭内の「土饅頭」-いかにも意味ありげな一本松が・・・ 「一 歩兵頭 春日左衛門 是は明治二年五月十一日 亀田新道瓦焼場に於いて負傷し郭内に収容して 少年田村銀之助が熱誠なる看護を受けて永眠す。 一 改役 酒井兼二郎 同 川井卓郎(実名 福島直三郎) 同 松村五郎 会計士官 田上義之助 無役少年 田島安次郎 十六 同 石島徳次郎 十四 以上の六名は明治二年五月十二日 郭内に於いて籠城者一同最期の訣別宴中 官艦甲鉄の巨弾 宴席に破裂せし時惨死。 一 改役 秋山重松 是は明治二年五月十二日 五稜城内東門守備隊長勤務中 官艦甲鉄の砲弾を受けて戦死。 一 歩兵頭並 伊庭八郎 是は明治二年四月十九日 札苅海岸にて重傷し郭内収容後没す。」 春日左衛門以外の八名は、「『函館戦争実況人形陳列館』の左側なる土饅頭下に合葬」しているとのこと。 また、「五稜郭内土饅頭下の勇士」の章では「土砂を楕円形に盛り揚げたる箇所あり・・・此所には郭内にて落命せし勇士 約五十名葬られあるも・・・」と記されています。50名もですよ!更に先述の9名が判明した後、「爾後絶へず調査し所 更に左の数氏を得た」として、以下の4名についての記述があります。 ![]() 春日左衛門の埋葬地跡 「一 開陽艦乗組 軍医 大竹松庵(越後人) 開陽艦は江差にて沈没し 上陸後五稜郭に在り 兵勢究まる及んで 王師に抗したる罪を謝さんと郭内 にて屠腹。 一 彰義隊差図役 大澤修三(或書に大川周蔵と有るは否) 一 同 同 苅谷秀三 一 軍艦役 三等 鳥山三郎 右三人は明治二年五月十二日 戦死。」 これで、氏名、役職の判明したとされる亡骸は全部で13名。これに加えて、明治32年(1889)の『旧幕府』の「史談会速記録」での、伊庭八郎の遺体は土方の傍に在るという有名な証言から、片上楽天による「調査」の記録には出てきませんが、五稜郭内の被葬者として土方歳三も含めて14名の遺体の氏名が確認されたということでしょうか。この楽天の記録とは別に、大正15年(1926)10月にも、四体の亡骸が「発掘」されたとの写真つきの記事が「函館毎日新聞」にあるようです。(新人物往来社『箱館戦争写真集』176ページ) ![]() 大正15年に四体の亡骸が「発掘」された場所 これらの「調査」は片上楽天による関係者からの聞き取り、当事者の記録した文献等に基づくもので、「各種の引用書と遺族の直話と古老の口碑に勘へ精査確信を得たる者にて苟しくも編者の憶測推断を交へず」と、自信を持って断言されていることが注目されます。片上楽天は自身も箱館戦争に少年兵として従軍した同時代人です。彼の言葉には、科学的な客観性よりも同時代を生きた人間としての絶対的な自信と気概を感じてしまいます。 現在ならば、出土した遺骨と御存命のご子孫の方々とのDNA鑑定などにより明らかとする方法もあるのでしょうが、個人的には、わずか百数十年前の戦没者に対しては、考古学的な「調査」と共に「供養」という態度も必要なのだと思います。 おそらく五稜郭の中には、まだまだたくさんの遺骨が眠っているのでしょう。無理に「発掘」するのではなく、五稜郭自体を彼等の墓標として大事にしたいものです。
by dounan-museum
| 2016-11-07 08:30
| テーマ「道南の考古学」
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