カテゴリ
全体 コラムリレー 市立函館博物館 函館市縄文文化交流センター 北海道立函館美術館 函館市北方民族資料館 函館市文学館 五稜郭タワー 函館高田屋嘉兵衛資料館 土方・啄木浪漫館 北海道坂本竜馬記念館 北斗市郷土資料館 松前町郷土資料館 松前藩屋敷 知内町郷土資料館 七飯町歴史館 森町教育委員会 八雲町郷土資料館 福島町教育委員会 江差町郷土資料館 上ノ国町教育委員会 厚沢部町郷土資料館 乙部町公民館郷土資料室 奥尻町教育委員会 大成郷土館 ピリカ旧石器文化館 テーマ「道南の考古学」 テーマ「道南の自然」 テーマ「道南の農業開発の歴史」 テーマ「松浦武四郎が見た江戸時代の道南」 テーマ「道南の美術を知る」 テーマ「幕末維新・箱館戦争」 テーマ「道南のアイヌ」 事務局 未分類 お気に入りブログ
リンク
以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
最新の記事
記事ランキング
画像一覧
|
市立函館博物館の大矢です。 今回は、最近手掛けている昆布に関する調査・研究についてお話ししたいと思います。 ■日本の伝統料理と昆布 正月が終わって1週間ほどたちますが、皆さんのおうちではおせち料理は召し上がりましたか? 北海道では正月に昆布巻きやお雑煮を食べるほか、特に道南地域では鯨汁を食べることがあり、これらの食事には食材や出汁の素として昆布が多く使われています。 もちろん正月以外にも毎日食べるみそ汁の出汁やとろろ昆布のような加工品など、昆布はあらゆる日本食に使われており、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「和食」の基礎といっても過言ではないでしょう。 しかし残念なことに、国内で生産される昆布のおよそ9割が北海道産で、しかもそのうちのおよそ半分が道南のものであるというのはあまり知られていないように感じます。 ■食べない昆布? 正月ついでにもう一つ。皆さんのおうちでは正月のお飾りは飾っておられますか? 最近はスーパーなどで既製品を買うことが出来ますが、かつては各家庭で藁をなって藁縄を作り、そこに紙垂(しで)や松の葉などを挟み、玄関や神棚などに飾っていました。 形や挟むものは地域や時代によって異なりますが、北海道や青森では「イカにもよろコンブ」という縁起物として、短冊状や紙垂状に切った昆布やスルメを挟み込むことがよくあったようです。 これは昆布生産地であること(昆布が身近にあること)も大きな要因の一つだと思うのですが、実は石川県や富山県などでも正月の床の間飾りや鏡餅の飾りに昆布が使われており、さらに遠く離れた福岡県や長崎県などでも正月の神棚飾りに昆布が使われることがあります。 このことは古くから昆布が広く日本の伝統文化に根付いていたことを示すとともに、昆布が「特別なもの」として認識されていたことに気づかされます。 ■日本文化を支える昆布 富山県など北陸地域では大量の昆布が消費され、沖縄県の伝統的な食事には昆布が欠かせません。さらに京都などの有名な料亭でも、道南産の真昆布は珍重されています(もちろん利尻昆布や羅臼昆布も上品な出汁がとれます)。 また、北海道では出汁を取った昆布は捨ててしまうことが多いですが、昆布非生産地ではさらに二番出汁を取ったり佃煮に再加工したりするなど、昆布が日常に根付くとともにとても大事にされています。 現在聞き取りや文献の渉猟をしながらこのような事例を集積して、日本文化の基層をなす昆布文化についての調査・研究をすすめています。 もしみなさんの周りでこのような事例があったら是非ご連絡ください。 消費地でもっと昆布の生産地についての理解を深めてもらえるような、そして生産地ではもっと昆布の価値(ひいては自分たちの郷土や生業)について再評価してもらえるような社会づくりに貢献できればと思っています。 ※本調査・研究は、日本学術振興会「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」実社会対応プログラム(公募型研究テーマ)「日本の昆布文化と道内生産地の経済社会の相互連関に関する研究」(研究代表者:齋藤貴之(星城大学)、研究期間:平成27年10月1日~平成30年9月30日)によって行われているものです。
by dounan-museum
| 2017-01-14 09:38
| コラムリレー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||