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厚沢部町郷土資料館の石井淳平です。 アイヌ語で川を意味する単語に「ナイ」と「ペツ」があります。 北海道の地名には「〜ナイ」、「〜ペツ」がつく地名が多くありますが、これらはアイヌ語で川を意味した地名です。 私たちの住む道南にどのくらい「〜ナイ」、「〜ペツ」がつく河川があるのかを調べてみました。 国土交通省発行の「国土数値情報」 まず河川の名称が入ったデータベースを作る必要があります。 自分でつくるのはとても大変なので、既製品を利用します。 国土交通省が発行している「国土数値情報」の河川データは小さな河川まで網羅しており、今回の目的には最適です。 このデータをダウンロードして使用しました。 ダウンロードしたデータは北海道全域の河川データで、49157件のデータです。 このうち道南のデータだけを取り出します(ピンク色の範囲)。 対象は4033件となりました。 データベースの「RIN」という項目が河川名称なので、この名称を1件ずつ目視でチェックして「〜ナイ」、「〜ペツ」がつく河川を探していきます。 「〜ナイ」、「〜ペツ」河川を探せ!! ここは力技になります。 一件ずつ河川名称をチェックして「〜ナイ」、「〜ペツ」河川を探していきます。 道南の場合、漢字があてられるケースが多く、探索は慎重を期します。 厚沢部町の「意養」(ヤシナイ)などは知らないと絶対に読めません。 「〜ペ」など「ペツ」地名かと思われるものでも語源は「ヌップ」(野原・原野)地名だったりするので、一つ一つ検証が必要です。 私はこうした作業には山田秀三さんの『北海道の地名』(1984,北海道新聞社)を好んで利用します。 山田さんは断定的な表現には抑制的で、色々な地名解釈を提示してくれるので、非常に使いやすいと感じています。 「〜ナイ」、「〜ペツ」河川の分布 以上のような作業により道南の河川を「〜ナイ」、「〜ペツ」、「その他」に分類し、分布図を作成しました。 全体的な数量として「〜ナイ」河川が多いように思えます。。 また、松前〜乙部あたりの南西部に「〜ナイ」河川が多く、せたなや今金などの北部に「〜ペツ」河川が多いように見えます。 亀田半島のいわゆる「下海岸」は「〜ナイ」、「〜ペツ」河川の分布がとても少なく感じます。 「〜ナイ」、「〜ペツ」河川からの距離ラスタ地図というものも作成してみました。 やはり「下海岸」には「〜ナイ」、「〜ペツ」河川の分布が少ないようです。 また、「〜ナイ」河川は北部にも南部にもまんべんなく分布していますが、「〜ペツ」河川は北部に偏る傾向があります。 こうした地域差が何を意味するのかは今後の研究課題です。 道南の河川名称の集計 ここまで分布をみてきましたが、集計すると以下のようになります。 国土数値情報のデータ件数と合致しないのは、同一河川が複数のレコードに分割されている場合があるからです。 ナイ 69 ペツ 32 その他 456 合計 557 道南では「〜ナイ」河川が「〜ペツ」河川の倍以上あり、さらに「〜ナイ」・「〜ペツ」河川が河川全体の18%を占めています。 早くから和語使用者が集落を営んだ道南にしては、アイヌ語起源の「〜ナイ」・「〜ペツ」河川が意外と多いというのが私の印象です。 また、集計作業を通して気づいたのは、和語起源の河川名称には人名がつけられるものがとても多いということです。 いずれ、人名起源の河川名称も集計してみたいと思います。
by dounan-museum
| 2017-09-16 12:12
| テーマ「道南のアイヌ」
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