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市立函館博物館の佐藤です。 今日は函館山にある,アイヌとエゾダテ山,尻沢辺との関係についてお話したいと思います。お付き合いください。 函館山には,函館山という名のついた頂はなく,御殿山を主峰とした山々の集まりです。その一つがエゾダテ山(蝦夷館山,標高129m)です。 〈ハクチャシ〉の〈ハク〉とは,アイヌ語で「浅い」を意味する言葉でした。また〈チャシ〉とは,上述した通りアイヌの〈砦=館)という意味です。つまり,〈ハクチャシ〉は函館山の「浅い」=「下」の方にあるアイヌの〈砦=館)なのです。 〈ハクチャシ〉にはもう一つの意味があります。〈ハク〉は訛(なま)ったというか,転訛して〈箱〉となり,〈チャシ〉=〈砦=館),つまり,箱館になったというのです。つまり,〈ハクチャシ〉は〈函館〉の 旧表記である〈箱館〉の由来ではないかというものです。 ただ,エゾダテ山の御殿山方向の後背地には高い樹木はなく,少し土を削ったようは凹んだ状態になっています。そのため,エゾダテ山が箱形に突き出たようになり,やはり,一見して〈砦=館)のようです。 函館山は,1899年(明治32)に施行された要塞地帯法により,1946年(昭和21)まで一般市民の立入が禁止されましたが,エゾダテ山だけは,1920年(大正9)に一般市民の入山が許可され,いち早く植物調査が行われた場所です(市立函館図書館から出版された『函館植物志』(山本岩亀・塚本角次郎 1932)よる)。 〈箱館〉の由来にはもう一つの説があります。それは,1454年(享徳3)に,津軽一族である河野政通が,〈ウショロケシ(湾の端)〉または〈ウショムケモシリ(海潮を受ける飛島)〉というアイヌ語に由来する〈宇須岸(ウスケシ)〉と呼ばれていた頃の漁村に館を築いたとされ,この館が箱に似ている所から〈箱館〉と言うようになったといういうのです。 どちら説が〈箱館〉の由来として有力かは,気になるところですが,それは専門家にお任せして,ここでは,そのことにあまり深入りしません。 ところで,エゾダテ山から南東方向には立待岬があります。立待岬はその名の通り「アイヌがここで魚を獲るために待っていた場所」とされていることから,エゾダテ山は,立待岬と同様に,何らかの見張り場だったのでしょう。見張り場となるためには,その近辺の尻沢辺村(現谷地頭町と住吉町を含む)にアイヌはの移住区があったことになります。 その意味は〈シリ〉=〈土地〉、〈シャン〉=〈下〉、〈ベ〉=〈岬〉から〈尾の出岬〉あるいは〈岩石険阻な所〉というそうです。また,〈シリサンべ=出崎),〈シクサラべ=大きな谷地)とも呼ばれたそうです。さらに,古くからの漁師町ですから、古老などは〈シサべ〉とか〈シサビ〉と訛(なま)って言っていていたようで,今でも〈スサビ〉という言葉を耳にします。この場所が起源と言われる〈スサビノリ〉もここから来ており,〈スサビノリ〉は「遠藤吉三郎(1874-1921,札幌農学校教授で日本の海藻研究の大家)が函館の〈すさび〉という名の浜で発見したノリにその地名にちなんで名づけたもの」とされており,〈アサクサノリ〉に比べ,繁殖力が強く,生育が早いため,現在は盛んに養殖されるようになっています。 その意味は〈シリ〉=〈土地〉、〈シャン〉=〈下〉,〈ベ〉=〈岬〉から〈尾の出岬〉あるいは〈岩石険阻な所〉というそうです。また,〈シリサンべ=出崎),〈シクサラべ=大きな谷地)とも呼ばれたそうです。さらに,古くからの漁師町ですから,その場所は,〈シサべ〉とか〈シサビ〉と訛(なま)って言われていていたようです。今でも〈スサビ〉という言葉を耳にします。この場所が起源と言われる〈スサビノリ〉もここから来ており,〈スサビノリ〉は「遠藤吉三郎(1874-1921,札幌農学校教授で日本の海藻研究の大家)が函館の〈すさび〉という名の浜で発見したノリにその地名にちなんで名づけたもの」とされており,〈アサクサノリ〉に比べ,繁殖力が強く,生育が早いため,現在は盛んに養殖されるようになっています。 最後までお付き合いいただきありがとうございます。
by dounan-museum
| 2017-09-28 00:00
| テーマ「道南のアイヌ」
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