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五稜郭タワーの木村です。 五稜郭タワーの展望台には、函館市街地や五稜郭の眺望をご覧頂くとともに、箱館開港から箱館戦争終結に至る迄の五稜郭の歴史を紹介する展示物が設置されています。そういう意味で当社の展望台は、単に高いところから景色を見て頂くのみならず、野外にある「特別史跡五稜郭跡」という文化財をご紹介する展示室であると考えておりますが、日光の降り注ぐ、全面ガラス張りの展望台という環境であることから、実物資料などの常設は行わず、ジオラマ模型とグラフィックパネルによる展示が中心となっています。 この中に竣工当時の姿を再現した縮尺1/250の五稜郭模型があります。この模型は、直径3メートルの円形の展示什器の周囲を120センチメートルの高さまでガラスで囲み、見やすさを考慮して上面はガラスで覆うことなく「露出展示」となっていますが、この為に、これ迄数多くの「受難」を経験しています。簡単に言うと、ガラス越しにいろいろなものを模型の五稜郭に入れられてしまうのです。 買い物のレシート、爪楊枝などは見つけ次第撤去しますが、おそらく模型を写真に撮ろうとしてカメラ・携帯電話などをガラスの内側に落としてしまったのでしょうか、五稜郭周囲の地表面が剥がれてしまうことが多発しています。この地表部分は、色・粗さの異なる8種類のパウダーから成っており、一旦剥がれてしまうと、同じ色に調合するのは至難の技。模型職人さんの技術を真似ても微妙なグラデーションを表現することは難しく、補修の跡は「素人が修理しました」と言っているようなもの。 また、これは、どうすれば手が届くのかもわからないのですが、五稜郭模型の橋の欄干が壊れるケース。普通の状態では自然に壊れることは無いはずの場所ですが、「自撮り棒」等の棒状の物を差し入れない限り不可能と思うのです。壊れた部品が模型内に落ちていれば、直ぐにでもピンセットと接着剤で修理に取り掛かるのですが、往々にして、何処に飛んで行ったか見つからず、プラ板から切り出した自作の部品での「五稜郭一の橋 平成の大修理」となるわけです。 重要文化財などの実物資料ではありませんが、模型であるからこそのゼロから生み出す工程がある分、担当した人間にとっては思い入れの強いものです。こちらの思いは別にしても、先日も、さいたま市の鉄道博物館で、いたずら被害により一部展示物の公開が中止となったように(2019年1月6日付 北海道新聞)、他のお客様にとっても良好な状態での観覧ができなくなることは避けたいことです。 このような展示物の受難は博物館業界での、いわゆる「あるある」なことなのか、それとも五稜郭タワーのような観光地に立地する展示施設に特有なものなのか・・・。そもそもガラスで覆っていない露出状態の展示が招いていることなのですが、地震で崩れた五稜郭石垣の修理現場を眼下に見ながら、模型の破損が無いことを祈りつつ、始業前の点検が日課となっています。 (アカデミックなコラムとは程遠い、新年早々のボヤキとなってしまいました。)
by dounan-museum
| 2019-01-14 08:00
| コラムリレー
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