|
カテゴリ
全体 コラムリレー 市立函館博物館 函館市縄文文化交流センター 北海道立函館美術館 函館市北方民族資料館 函館市文学館 五稜郭タワー 函館高田屋嘉兵衛資料館 土方・啄木浪漫館 北海道坂本竜馬記念館 北斗市郷土資料館 松前町郷土資料館 松前藩屋敷 知内町郷土資料館 七飯町歴史館 森町教育委員会 八雲町郷土資料館 福島町教育委員会 江差町郷土資料館 上ノ国町教育委員会 厚沢部町郷土資料館 乙部町公民館郷土資料室 奥尻町教育委員会 大成郷土館 ピリカ旧石器文化館 テーマ「道南の考古学」 テーマ「道南の自然」 テーマ「道南の農業開発の歴史」 テーマ「松浦武四郎が見た江戸時代の道南」 テーマ「道南の美術を知る」 テーマ「幕末維新・箱館戦争」 テーマ「道南のアイヌ」 事務局 コラムリレー 北海道坂本龍馬記念館 未分類 お気に入りブログ
リンク
以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
最新の記事
記事ランキング
画像一覧
|
こんにちは、函館美術館の星野靖隆です。 今回は、当館が所蔵する田辺三重松(1897~1971)の約450点の水彩・素描作品から、画業の最初期に制作した水彩画をご紹介します。 三重松は、函館商業学校(現・北海道函館商業高校)在学中の1913(大正2)年、16歳のときに絵画に関心を抱きました。卒業後は、家業の呉服店の仕事をしながら絵画の独習と制作を続け、1922(大正11)年、25歳のころ、本格的に油彩画に取り組み始めました。函館商業学校で絵画を始めてから油彩画を手掛けるまでの約10年間は主に水彩画を制作していました。今回はそのころの作品に触れたいと思います。 現在分かっている最も古い作品は、1918年1月15日の日付の入った《駒ヶ岳山麓の村》です。具体的な取材地点はわかりませんが、駒ヶ岳の形から森村(現・森町)の風景と推測されます。翌年に制作された《立待岬にて》(1919年)は、現在の住吉漁港付近から描いたと考えられ、ところどころで透明水彩絵具を重ねて色調に濃淡の変化をつけることで、海面や岬の山肌の細かい表情を表現しています。 当館が所蔵する三重松の水彩・素描の大半は遺族によって寄贈されたものですが、昨年度《セメント工場(上磯)》が三重松と縁のある個人の方からの寄贈により、当館のコレクションに加わりました。この作品は、上磯の浅野セメント(現・太平洋セメント)の工場を西側から描いたものです。手前には小屋や船のある素朴な川沿いの風景が描かれ、その向こうにセメント工場の煙突が立ち並び、遠景に七飯から函館にかけての山並みが広がっています。無数の筆触によるモティーフの形や色の細やかな描写、小屋や煙突を映しながら揺らめく水面と穏やかな光に満ちた大気の繊細な表現は、透明水彩画における三重松の高い技量を示しており、三重松の初期の秀作のひとつに挙げられます。 この作品は、もともと函館市立幸小学校(合併により現・弥生小学校)の職員室に架けられていたもので、寄贈者の母親が退職する際に譲り受けたそうです。1934(昭和9)年の函館大火のときには自宅で消火のため水を被ってしまい一部が破損していましたが、娘である寄贈者に受け継がれ、長く大事にされていました。
このほかにも、制作年不詳ながら室蘭の風景を描いた作品もあります。こうした初期の水彩画からは、三重松が家業の合間を縫って、函館市内から近郊、遠方まで足を伸ばしながら、熱心に制作に励んでいた姿が浮かび上がってきます。また、1934(昭和9)年の函館大火により三重松のアトリエは類焼し、多くの初期の作品が失われたことから、これら初期の水彩画は貴重と言えるでしょう。
by dounan-museum
| 2020-01-11 18:07
| コラムリレー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||