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市立函館博物館の保科です。 今回はお店で使っていた道具を紹介します。 その道具は、当館の登録名では「押印」(資料番号601086)としていますが、通称「ポンポン」と呼んでいます。 ポンポンは、商品を入れた俵や木箱などに屋号(家印)などをスタンプする道具です。地域や使うお店によって呼び方は違うようですが、函館のある商店ではポンポンと呼んでいました。江差からご観覧に来たご高齢の方もポンポンと呼んでいました。 柄は木製や竹製で、判部分は木製で硬い毛のようなもので記号が形成されています。柄には所有者の屋号(家印)が刻印されています。 屋号(家印)の読み方は、地域や使用者によって異なる場合があります。紹介するポンポンの中には、屋号(家印)と異なるものも含まれています。ポンポンについては今後、当館ホームページのデジタルアーカイブでも紹介する予定です。(市立函館博物館デジタルアーカイブ (fun.ac.jp)) また、以前に当館では屋号(家印)をテーマにした取り組みをおこなっています。取り組みの内容については当ブログで紹介しております。(研究テーマとしての「情報ブース」第4弾 : 道南ブロック博物館施設等連絡協議会ブログ (exblog.jp))(研究テーマとしての「情報ブース」第4弾 Part2 : 道南ブロック博物館施設等連絡協議会ブログ (exblog.jp)) このポンポンは函館の西浜町(現弁天町)で酒類や雑貨・ガソリンなどを扱っていたワチガイ酒谷商店で使用されていたものです。ワチガイ酒谷商店は、加賀橋立(現石川県加賀市)の商人チガイヤマチョウ酒谷家の船頭をしていた人物が開いたお店です。下記の新聞広告にみられるように神戸・灘の辰馬酒造の「白鹿」の北海道総代理店などもしていました。このポンポンも取引先に商品を届ける際に、箱などに配達先を間違えないように屋号(家印)を押すために使われたものと思われます。 酒谷商店(大正期 個人蔵) 酒谷商店が函館駅前に設置した「ガソリン供給機」の記事(函館毎日新聞 大正15年5月16日) ワチガイ酒谷家に関しては、当館の研究紀要でも紹介していますので、興味のある方はどうぞご覧ください。 ・第28号(KIYOU28-1.pdf (hakohaku.com)) 「ポンポン」という名称や屋号への関心、道具的おもしらさから、これらを多数あつめて展示したいと思う方もいらっしゃると思います。しかし、この道具だけが残されていても、それを使用していた商店の業態もしかしたら商店名すらわからないかもしれません。 博「物」館ですからモノがなくては成り立ちません。しかし、モノだけあってそれを並べているだけでよいのでしょうか。実態を解明するために、さらに多くのモノを集めなくてはダメだと考え、さらに大量にモノを集めることがあります。果たしてそれが整理されて分析されて、ある程度の成果が出るのでしょうか。成果が出ないのは集めかたが足らないからだといわれるかもしれません。 モノを知るために情報も集めてみてはいかがでしょうか。集めたモノや情報は整理して次の代にもわかるようにしておくことも必要ではないでしょうか。俺が集めたモノは俺のものだ!俺の集めた情報は俺の頭の中だ! それではいつまでたっても情報のないモノだけが蓄積されて、朽ち果ててしまうのではないでしょうか。朽ち果てさせないために博「物」館があるのだろうと、お叱りの声が聞こえそうですが。 モノだけではなく少しづつでも情報を蓄積していけば、次の代に新しい成果が産み出されるかもしれません。それも博物館の役割ではないでしょうか。 皆様の益々のご活躍をお祈り申し上げ、お先に足を洗わせていただきます。
by dounan-museum
| 2023-03-20 10:00
| コラムリレー
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