|
カテゴリ
全体 コラムリレー 市立函館博物館 函館市縄文文化交流センター 北海道立函館美術館 函館市北方民族資料館 函館市文学館 五稜郭タワー 函館高田屋嘉兵衛資料館 土方・啄木浪漫館 北海道坂本竜馬記念館 北斗市郷土資料館 松前町郷土資料館 松前藩屋敷 知内町郷土資料館 七飯町歴史館 森町教育委員会 八雲町郷土資料館 福島町教育委員会 江差町郷土資料館 上ノ国町教育委員会 厚沢部町郷土資料館 乙部町公民館郷土資料室 奥尻町教育委員会 大成郷土館 ピリカ旧石器文化館 テーマ「道南の考古学」 テーマ「道南の自然」 テーマ「道南の農業開発の歴史」 テーマ「松浦武四郎が見た江戸時代の道南」 テーマ「道南の美術を知る」 テーマ「幕末維新・箱館戦争」 テーマ「道南のアイヌ」 事務局 コラムリレー 未分類 お気に入りブログ
リンク
以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
最新の記事
記事ランキング
画像一覧
|
上ノ国町教育委員会の塚田です。
皆さまは、「貞伝仏」という仏像をご存じでしょうか。かくいう私も恥ずかしながら、現在行っている町史編さん事業の資料調査の際に2体が発見され、その存在を知りました。今回は、重要文化財旧笹浪家住宅の当主能登屋笹浪家の分家筋に当たる家系に伝わり、現在上ノ国町に寄贈されている貞伝仏についてご紹介します。 貞伝仏は町内の資料台帳を調べてみると、昭和52年に行われた町内文化財の悉皆調査で3体の貞伝作とされる仏像が確認されており、今年発見された2体を合わせると5体の貞伝仏が町内に所在することになります。
貞伝仏とは!? 青森県東津軽郡今別町に所在する浄土宗本覚寺第五世住職の貞伝上人(1690 ~ 1731) が鋳造で製作した銅製の仏像です。一般的には1寸あまりの仏像が「万体仏」の名称で知られています。 また、貞伝上人は享保年間に蝦夷地へ渡海し、有珠の善光寺(伊達市)に金銅仏を鋳造して納めとされています。これが現在、有珠の善光寺秘仏の御本尊です。「貞伝上人東域念仏利益伝」によれば、享保12(1727)年に貞伝上人は古金物など700貫を募って「青銅塔婆」(青森県重要文化財)を建立しています。さらに、余った地金で享保15(1730)年に長さ1寸2分の阿弥陀如来像1万体を鋳造し、弘前市誓願寺本堂復興のため、浄財とひきかえに信者に与えたとされています(中泊2008)。 ![]() 貞伝仏(その1)
寸 法 全長 84.05㎜(仏像45.76㎜、台座38.29㎜) 材 質 仏像:銅製、台座:木製 製 作 鋳造 形 式 阿弥陀如来立像 銘 等 背面に「貞傳作」の刻書 ![]() 貞伝仏(その2)
寸 法 全長 64.64㎜(仏像48.12㎜、台座16.52㎜)、厨子85.10㎜ 材 質 仏像:銅製、台座:木製 製 作 鋳造 形 式 阿弥陀如来立像 ![]() 貞伝「万体仏」の分布
おわりに 北海道内の「万体仏」は上ノ国町の他、文献資料からせたな町、乙部町、松前町、福島町、函館市にその所在を見ることができます。ただし、分布で少し間が空いている地域もありますので、まだまだ存在していることが予想されます。 普段あまり目立たない、仏壇やお寺に置いてある小さな仏像がもしかしたら、貞伝仏かもしれません。是非、小さな仏像がありましたら一度確認してみてはいかがでしょうか。
引用参考文献 福島町史編集室 1995『福島町史 第二巻 通説編(上)』 松前町史編集室 1994『概説 松前の歴史』 戸井町史編集委員会1973『戸井町史』 肴倉弥八編1967「貞伝上人東域念仏利益伝」『今別町史』 中泊博物館2008【http://www2.town.nakadomari.aomori.jp/hakubutsukan/nissi/08.09/nissi08-09.htm】
by dounan-museum
| 2024-01-01 00:00
| コラムリレー
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||