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平成30年から発掘調査を開始した室町時代の15世紀中頃に機能した山城の花沢館跡や洲崎館跡では、令和2・3年に懸仏が見つかり、当時の人たちの山城における活動の新たな一面が明らかになりました。 今回は山城における信仰について、ご紹介したいと思います。 花沢館跡からみつかった北海道初出となる懸仏は、令和2年に頂上部の主郭から上下逆さまの状態で出土しました。懸仏は本来の仏が衆生救済のため、仮に神の姿でこの世に現れるという神仏習合ひとつである本地垂迹説を体現するものです。大きさは高さ10.1㎝、幅5.3㎝、厚さ2.5㎝、重量210gの青銅製の鋳造品です。六本の手で救う如意輪観音ですが、別造りの手が三本欠損しています。 現在、この懸仏は頬杖をついたゆるい表情や「六本の手でみんなを救う」という理由で地域の人たちから「六救さん」と愛称がつけられ、キーホルダーや絵本が作られる他、六救さんづくり体験という鋳造体験なども実施され、地域住民と行政が連携した活用の取組みが行われています。 一方、洲崎館跡の懸仏は毘沙門天で砂館神社西の隣接する場所から出土しています。大きさは、高さ8.2㎝、幅4.0㎝、重量1.0gで、板厚が0.1㎝です。花沢館跡の懸仏と比較して非常に薄造りで、鋳造でなく銅板打ち出しで作られています。摩滅が激しいものの、須弥山をイメージした岩座に立ち、甲冑を表す刻み模様が施され、左手の持物(じもつ)は欠損している。銅板に留めていたものが外れ、毘沙門天像だけが出土したものです。寛正3年(1462)に洲崎館跡で創建された毘沙門堂の存在を裏付ける遺物として、大変意義深いものです。 山城はどちらかと言えば、防御的な活動をイメージしがちでしたが、懸仏の発見により信仰の場としても利用されていたことを想像できます。また、北海道の中世においても神仏習合の教えがある程度普及していたことがわかり、当時の神仏に対する篤い信仰心を伺い知ることができます。
by dounan-museum
| 2024-09-12 00:38
| コラムリレー
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