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■はじめに 江差町郷土資料館の宮原です。![]() 今回のコラムリレーではその企画展の内容についてご紹介します。 三上千代蔵さんは、北海道江差町の柳崎地域で生まれ育ちました。 農業などを営みながら、仕事や趣味で身に付けた技を使って様々な作品を作り、その技を活かして地域の活動をしてきました。 残念ながら2024年7月10日に91歳でご逝去されましたが、ご遺族や地域のご協力をいただいて作品を展示することができました。 この企画展は、それらの作品を見ながら三上千代蔵さんの「生きる姿勢」を追慕することが目的です。 企画展の副題を「-自らの技を、地域と共に、そして家族を想い-」としました。 展示も副題に沿った構成としています。 副題に合わせて展示資料をみてみましょう。 ■自らの技を 三上千代蔵さんは字がとても上手でした。 この印もご自身で彫りました。 これは、昭和34年に三上千代蔵さんたちが千軒岳に山仕事へ入った時に記念に作成したものです。 木に生えるサルノコシカケのようなキノコの裏面に、次のような文字を彫っています。 石崎のやまにいどみし十二人 大千軒の雄姿のぞみて 搬出のそりをせおいてのぼりゆけば したたる汗は宝石のごと 昭和三十四年陽春 千代 「千代」の下には、あの「T」と「M」を組みわせた記号も彫られています。 ■地域とともに モノづくりが好きで器用な三上千代蔵さんは、江差町文化協会に個人として入会し、毎年開催される江差町文化祭へ継続して作品を展示されました。 ![]() これは2015年の江差町文化祭に出展した作品です。 ヒバ材に民謡「江差追分」の歌詞である「かもめの鳴く音に ふと目をさまし あれが蝦夷地の 山かいな」を彫り、透かし彫りで下部には北前船を、周辺にはカモメを配置しています。 まさに江差の歴史文化を凝縮した作品です。 これは2016年の江差町文化祭に出展した作品です。 三上千代蔵さんが生まれ育ったのは厚沢部川河口にある柳崎地域ですが、そこは江戸時代に川を使ったヒバ材の搬送でにぎわった地域でした。 そのにぎわいは江戸時代中期に描かれた屏風絵で知ることができますが、三上千代蔵さんはその屏風絵をヒバ材への木彫で表現しました。 ここにも江差の歴史文化が詰め込まれています。 また三上千代蔵さんは、地域の活動にも仲間と一緒に携わってきました。 柳崎地域では神社の鳥居に飾る正月用の注連縄を地域のみんなで協力して作ります。 三上千代蔵さんは、注連縄飾りのなかでも〆の子づくりを担当していました。 江差町の柳崎地域では、地域のみなさんが協力して柳崎地域の歴史書『柳崎郷土史 どんば』を刊行しています。 三上千代蔵さんはこの本の編集委員長を務められ、タイトルの揮毫もされました。 「どんば」とは柳崎地域の地域呼称で「土場」とも書きます。 ![]() 踊り手が履くわらじや、木片を重ねて音をならすササラという楽器は、保存会員たちが三上千代蔵さんから作り方の指導を受けて手作りで作成したものです。 新型コロナウイルスの流行以降は実施されなくなってしまいましたが、柳崎地域では毎年4月8日に花祭りを行っていました。 ■そして家族を想い 三上千代蔵さんは、そのお孫さんのために手作りで碁盤と碁笥を作りました。碁石は黒い石と白い石を拾い集めたものです。 石膏像は、お孫さんがお亡くなりになった後にその面影を形に残したものです。 ■おわりに これらの作品を通してご覧いただくと、三上千代蔵さんは自分の好きなモノづくりを通じて地域や家族とつながっていたことがうかがえます。近年、「地域おこし」「地域の魅力発信」などというフレーズをよく聞きます。 それらは、ともすれば重荷ともなりかねない一過性のイベントになりがちです。 私は、三上千代蔵さんのように無理をせずに自分の得意なことを通じて地域や家族と関わり合うことを目指していきたいと思っています。
by dounan-museum
| 2025-01-24 08:03
| コラムリレー
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