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奥尻町教育委員会事務局の稲垣です。
今年は戦後80年という節目の年です。
今回は「戦後」について、2025年8月を現在地として少し考えてみます。 この「戦後」という言葉は、どのように解釈され、またイメージされているでしょうか。 簡単に考えると、戦後とは第二次世界大戦終結後の事、となります。 日本国でいうと、アジア・太平洋戦争(戦争の呼称や期間については、様々な論調がありますが、ここでは本題としません)終結後の事、になります。 日中戦争含めた長い戦争期間が、大日本帝国が英米中ソなどの連合国に対して無条件降伏することで終わったのです。
これを「終戦」と呼ぶか、「敗戦」と呼ぶか、個々人によって様々です。 前線で戦った兵士とすれば、敗退であり、それを支えた銃後の国民であれば、そのことが終わりとなった訳です。 帝国日本のこの近代戦争は国が国民一体となってぶつかった総力戦でしたから、そういう意味では国民全体が敗者となったことになります。「敗戦」と呼ぶことにこだわる人がいる理由の一つでしょう。 ただ、はっきりしているのは、戦いが終わり、帝国日本は負けたのです。
そこから「戦後」はスタートしました。 同時に「戦前」という概念も生まれました。 「戦前」とは、戦争開始前、または1945年8月15日もしくは9月2日以前 「戦中」とは戦争期間中 「戦後」とは1945年8月15日もしくは9月2日以降 という区分を設けることができます。
歴史的経過としては、帝国日本は1945年8月14日に無条件降伏となるポツダム宣言を受諾、翌15日正午に国民一般に広く表明しました。現人神とされた昭和天皇の肉声がラジオから流れるという前代未聞の出来事でもあり、「玉音放送」と呼ばれています。 ただし、国際法的に見て、正式な降伏調印は9月2日の米国軍艦ミズーリ上でのことです。しかし、ただちに停戦となったわけではなく、ソ連による侵攻があった樺太(サハリン)では8月22日に「知取協定」が結ばれて停戦しましたが、最終的には25日に陸軍第88師団が武装解除するまで戦闘が続きました。北方四島がソ連に占領されたのは、その直後のことです。うち、国後島を追われた島民は、翌1946年に奥尻島へ集団入植することになります。 他地域においては、終戦後も独断専行して外国に留まった兵士、中国の内戦に巻き込まれて部隊ごと残留させられた兵士、シベリアに抑留された兵士。軍隊が瓦解した後、満州の開拓地に取り残され、悲劇的運命をたどった民間人、そして、野ざらしにされたままの遺骨。否応なしに、それぞれの「戦後」が始まったのです。これらの人々にとっては決して戦争は終わっていなかったとも言えます。 敗戦後の国内の生活も語り尽くせない悲惨な部分がたくさんありました。海外に残されたままの遺骨帰還問題、戦災の個人補償の問題など、戦争の後始末は今日まで尾を引いています。
もちろん、日清戦争と日露戦争の前後でも戦前、戦中、戦後の状況は発生しました。 けれど、この時代においては、現在のように意識的に区分され、呼称されたとは思われません。 やはり、「先の大戦」や「あの戦争」と呼ばれることもあるアジア・太平洋戦争においてのみこれらの区分が用いられ、概念的に現在の国民一般に通用しているからだと思われます。それだけ、国民にとって敗戦になって終わった戦争は未曾有の出来事であり、体験であったということです。何より、80年間、日本国が係わる戦争が起きなかったことに他なりません。
戦後とは、新たな戦前である、と表現した人がいました。言い得て妙です。ひとたび戦火を交えれば、「戦後」はたちどころに消えて、今戦っている戦争の「戦前」となってしまう訳です。紆余曲折を経ながらも80年間続いてきた今現在の「戦後」が「戦前」にならないよう、国民は不断の努力でこれを堅持し、後世に伝えていく努めがあると言えましょう。
参考文献:麻田雅文2024『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』中公新書2798
by dounan-museum
| 2025-08-11 08:30
| コラムリレー
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