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北海道立函館美術館の耳塚です。
12月20日(土)から、当館常設展示室にて「道南の美術 戦時下の諸相」展を開催予定です。
本展では、第二次世界大戦(1939-1945)の期間に、道南ゆかりの作家たちが制作した絵画、写真、スケッチなどを紹介します。
今回は、この展覧会に出品予定のこちらの油彩画をご紹介します。
![]() 田辺三重松《北方の港(北千島)》1943年 函館市蔵(当館寄託)
田辺三重松(1897-1971)は、函館区大黒町(現・函館市弁天町)に生まれた、北海道の雄大な自然を鮮やかな色彩と大胆な形で描いた油彩画で知られる画家です。1957年に活動拠点を函館から東京に移しましたが、転居以降も北海道の風景を描き続けました。
若き日の田辺は、1920年代から赤光社展(函館の美術家団体展)や道展(全道規模の美術家団体展)に出品していました。1930年代は、全国規模の公募展である二科展で何度も入選。1938年には二科会の会友、1943年には道内在住画家として初の会員となり、戦時下でも画家として高い評価を受けていました。
1943年夏、田辺は北千島に従軍画家として赴きました。《北方の港(北千島)》は、この時の取材をもとに制作された作品です。
港に停泊する大小の船、穏やかな海や山々は、田辺が以前から描いていた主題です。本作でも、力強い筆致で個々の船の特徴や海の波の様子を的確に表現しています。
画面下部に大きく描かれた錨は、黒光りする金属の質感まで丁寧に表されています。そしてその背後の光景は、錨の質感が影響しているかのように、冷たく活気がありません。
軍服姿の4人の人物や、沖に浮かぶ軍艦らしき船の黒い影が、こののどかな海浜風景に不穏な空気を漂わせています。
この作品は、戦前の明るく生き生きとした港の風景画とも、戦後の鮮烈な色彩と大胆な構図で表現された海辺の風景画とも異なる印象を与えます。
本作は軍部が主導する戦時の特別展ではなく、一般公募展である新美術家協会展に出品されました。しかし、画面には戦争の気配が色濃く表されています。
1943年から美術制作資材の供給が統制され、年次の鑑査結果に基づき資材が美術家たちに分配されました。田辺は資材を優先して配給される「甲種」と評価されましたが、それでも画材の入手は容易ではなかったはずです。しかし、1928年から函館で毎年開催していた個展は休止せず、1943年や1944年にも開催しました。
1944年10月、一般公募展が禁止されたことにより、田辺が所属していた二科会は解散しました。
終戦後、田辺は二科会再建の運動には加わらず、1945年11月に二科会の元会員と共に行動美術協会を創立し、翌12月には北海道在住作家たちの団体である全道美術協会の創立にも参画しました。
【展覧会情報】 「道南の美術 戦時下の諸相」 会期:2025年12月20日(土)~2026年4月5日(日) 会場:北海道立函館美術館常設展示室 観覧料:一般260円、高大生150円 *中学生以下および65歳以上、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方(ミライロID利用可)およびその介護者1名などは無料。 *高校生は毎週土曜日および学校の教育活動で利用する場合は無料。
by dounan-museum
| 2025-09-01 10:00
| コラムリレー
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