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北海道坂本龍馬記念館 柳田です。 明治の訪れを見ることなく、この世を去った坂本龍馬。そんな彼は、明治の世で人々の心の中に復活し、昭和の戦後で再び、人々の心を惹きつける存在となる。そこにはことごとく、彼の魅力を描いた大衆文化作品が大きく影響している。 明治16年、坂崎紫蘭によって書かれた龍馬の一代記『汗血千里駒』。この小説によって、後世に伝わるヒーロー像が造り上げられた龍馬は、明治37年の日露開戦前夜、昭憲皇后の夢枕に立ったことで、国民の士気を鼓舞することにもなった。 ![]() 時を経て、戦後日本にその名を広く世に知らしめたのは、戦後昭和38年から産經新聞夕刊に連載された小説『竜馬がゆく』なのは、間違いない。一介の土佐脱藩浪士が、維新の立役者にまで上り詰めるストーリー、司馬遼太郎が描くその魅力的な竜馬像と相まって、龍馬に魅かれる人々が急増した。小説は、竜馬が暗殺される場面で終わるが、「若者はその歴史の扉をその手で押し、そして未来へ押し開けた。」という完結文もまた、龍馬のヒーロー像を後押ししている。 「血の気の熱いころにこの風景(富士山)をみて感じぬ人間は、どれほど才があっても、ろくなやつにはなるまい」と寝待ノ藤兵衛に発した竜馬は、「~一瞬でもこの絶景をみてこころの内がわくわくする人間と、そうでない人間とはちがう」とも言う。「日本一の男になりたいと思った」竜馬は前者だが、少なからず自分にもそんな経験があった、と共感した人々は、ますます坂本龍馬という人間に惚れ込んでいった。 ![]() 昭和も終わりに近づいた61年、今度は漫画『お~い!竜馬』が注目を集める。大ファンを自認する武田鉄矢原作のこの漫画には、『竜馬がゆく』にはない幼少時代も描かれている。弱虫でいじめられっ子だった竜馬が、剣術との出会いで目覚めるきっかけを掴み、その後もひとつひとつの新たな出会いから、自分が歩むべき道を見つけ、大きく成長していく物語。いつもは飄々としている竜馬の内に秘める熱い想い、それが読者にビンビン伝わってくる場面が、数多く散りばめられている。 「長州がなんじゃー‼薩摩がどうしたーっ‼まだそんなちっぽけな、藩の体面や意地にこだわっちょるがかー―っ・・・。この同盟は、長州のためでも薩摩のためでもない‼日本のためじゃ‼」薩長同盟締結を前に、決心の鈍る桂さんへ発した竜馬の言葉。ほとばしる熱い想いが伝わってきて、ますます人々は坂本龍馬に惹きつけられていった。 ![]() 平成に入ると、福山雅治が主演を務めた大河ドラマ『龍馬伝』が世間を騒がす(平成22年)。福山竜馬の格好良さも相まって、坂本龍馬への世の中の注目度が俄然、高くなった。当記念館は平成21年11月15日の開館、実際『龍馬伝』で坂本龍馬を知って来館くださった方も多い。また、このドラマはアジアでも放映されていて、『龍馬伝』を観て来館された海外(特に台湾)の方も多く、海外での龍馬への注目度も増していった。 令和4年には『幕末相棒伝』が放映される。これは小説『相棒』が原作、坂本龍馬と土方歳三がタッグを組んで、将軍暗殺未遂事件を追うという内容、龍馬の新たな一面が引き出された作品といえる。このような経緯を経て、戦後80年を迎えた現在も坂本龍馬は、「好きな歴史上の人物ランキング」で常に上位に顔を出す存在となっている。今後、戦後100年、200年を迎えても、龍馬の魅力は様々に形を変えながらも、語り継がれていくことだろう。
by dounan-museum
| 2026-01-24 15:17
| コラムリレー
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