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市立函館博物館の大矢です。 現在市立函館博物館では,令和6年度企画展「北東アジアのシルクロード-北方交易と蝦夷錦-」を開催しています。 「シルクロード」といわれると,かつてヨーロッパと中国をつないだ絹製品の交易路が思い浮かぶかと思いますが,実は中国からサハリン・北海道を経て本州まで及んだ「北東アジアのシルクロード」も存在していたことをご存じでしょうか。中国の元朝・明朝・清朝は,ウリチやナーナイなど沿海州の先住民族を治めて朝貢交易をおこない,貴重なクロテンの毛皮等を納めさせる代わりに絹製の官服(役人の服)等を下賜しました。これが先住民族同士の交易を経て北海道にもたらされ,「蝦夷錦」として和人によって珍重されたのです。 蝦夷錦の中継役となったウリチやナーナイは,当時近隣の先住民族から「シャンタ」や「サンタ」などと呼ばれていたことから,やがてその呼び名は「サンタン(山丹)」に転訛し,この先住民族同士の交易活動は「サンタン交易」と呼ばれました。 市立函館博物館所蔵の蝦夷錦 1879年に函館の豪商杉浦嘉七が寄贈 19世紀初頭にアムール川河口付近の地デレンの「満州仮府」を訪れた間宮林蔵は,そこで行われていた朝貢交易の様子について『東韃地方紀行』に書き残しています。そこには毛皮を献じる先住民族や,下賜する反物を脇にしてそれを検分する清朝の役人の姿,そしてその周囲で活発に交易をおこなっている多数の先住民族の姿を見て取ることができます。 間宮林蔵『東韃地方紀行』(函館市中央図書館所蔵)より こうしてウリチやナーナイなどの先住民族の手に渡った絹製品は,サハリンの先住民族であるニヴフやウイルタ,そして同じくサハリンや北海道のアイヌへと渡っていき,「蝦夷錦」として和人の手に渡っていったのです。和人の手に渡った蝦夷錦はもとの服としての形態だけでなく,その素材や柄を活かして打敷や袈裟などの仏具や,袱紗や刀袋などの調度品にも仕立て直されるなど,さまざまな形態で現代まで伝わっています。 打敷に仕立て直された蝦夷錦(市立函館博物館所蔵) 裏面に「安政二卯年七月二九日」(1855年)の墨書がある 現在企画展では函館や松前などの道南地域に残された蝦夷錦を一堂に展示しているほか,サンタン交易の実態や蝦夷錦が和人に与えたイメージなどについて書かれた文書資料や絵画なども展示し,北東アジアのシルクロードの全体像が伝わるように展開しています。この機会にぜひ函館博物館に足を運んでいただき,貴重な文化財の数々をご覧いただきたいと思っています。 なお8月26日~28日は休館して,道南に残された蝦夷錦を青森県下北地方に残された蝦夷錦に展示替えし,8月29日からその公開を開始します。9月7日には学芸員による展示解説と,ノンフィクション作家相原秀起氏によるスペシャルトークを開催しますので,こちらもぜひご参加ください。
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by dounan-museum
| 2024-08-30 13:29
| コラムリレー
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森町教育委員会の高橋です。令和6年4月1日に指定された森町の新たな文化財を紹介します。それは町立尾白内小学校(令和6年3月に閉校)にあるフランシス・ブラックニーという名前の通称「青い目の人形」です。
フランシスは、昭和2 (1927)年にアメリカの宣教師シドニー・ルイス・ギュー リックらが立ち上げた世界児童親善会から、日米親善の目的(日本側の受け入れ や手続きを担ったのは実業家渋沢栄一を代表とした日本国際児童親善会)で日本 の小学校等に贈った約12,000体の「友情人形」(Friendship Dolls)のうちの1体 です。日露戦争後の不安定な社会情勢の中でアメリカ国内での反日感情の高まり が背景にあるとされ、そうしたムードを少しでも和らげようという願いから ギューリックや渋沢が計画したものでした。日本からも「答礼人形」として50体 ほどの日本人形がアメリカに贈られています。 日米親善の役割を期待された青い目の人形は、その後の社会情勢の影響を受け、 日米が争うかたちとなった太平洋戦争の頃には敵国の象徴という意味を付与さ れ、大半の人形が処分されました。現存する人形は300体ほどと言われており、 9割強が処分されたことからも、その異様さが想像されます。
フランシスは日本に到着した時の旅券や挨拶文が現存しています。還暦や卒寿等のイベントを記録した資料や当時の新聞記事も一緒に残されており、尾白内小学校の児童や先生・地域の方たちに大切にされていたことがよく伝わってきます。このようなことから、昭和初期の日米関係や町の歴史と文化を伝える重要なものとして文化財に指定されました。 しかし、フランシスが伝えていることは、これだけではないと思います。青い目の人形は親善大使としてパスポートや案内状まで準備され、現代から見るとかなり公式的な贈り物に見受けられ、事実大切にされていたことでしょう。ところが一転、青い目の人形は突如処分される事態に見舞われます。人形を持っていてはいけない、処分するべき、といった体制・雰囲気に世の中が変わってしまいます。友好親善の願いが込められた大切なものが忌み嫌われるものとして扱われます。それが戦争です。 ある人は、大事にして愛着もわいてきた人形をなぜ捨てるのかと強く抵抗したかもしれません。またある人は、敵国からの贈り物を大事にする必要はないとこれみよがしに処分したり、人形を持っていることが役人や近所の人に知られたら自分たちの命も危ういという思いから処分したかもしれません。なかには処分したと説明して、倉庫や物置に見つからないように隠していた人もいたようです。その結果、1万体以上が処分されわずか300体ほどが戦禍を免れました。 ここに戦争と戦時下の社会に生きる多くの人々の苦悩や葛藤を想像することができるでしょう。戦争は世の中を、そして日常の暮らしを一気に変えてしまいます。人の命の重みを忘れさせ、考える機会を奪い、時には命を落とすことを良しとする風潮をも作り出してしまいます。今も同じことが起きています。戦争を終わらせることは難しいですが、戦争を繰り返さないためにはまず戦争はどういうものかを知り、忘れないで伝えていくことが重要です。フランシスは戦争の悲惨さを忘れないでほしいというメッセンジャーの役割を担っていると思います。 過去の成功や失敗をもとに、未来の平和について、今考えて行動する。フランシスたち青い目の人形がそのきっかけになることを願っています。 参考文献 本田 徹 2023『青い目の人形』
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by dounan-museum
| 2024-08-25 23:58
| コラムリレー
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ピリカ旧石器文化館の宮本です。 今回は当館の話題ではなく、道南ブロック博物館施設等連絡協議会が運営する「南北海道の文化財」を取り上げます。 当協議会では多くの人に文化財を知ってもらうため、加盟する学芸員で協力し、誰でも無料で利用できるOpenStreetMap(オープンストリートマップ)上に文化財等を表示する、いわゆるウェブ版文化財マップを作成しています。まずはこちらをごらんください。 本サイトは公立はこだて未来大学の奥野拓教授の技術協力を得て、2017年から公開が始まり、石碑や建造物、史跡、屋外美術、景勝地のほか、博物館施設(博物館、資料館、美術館等)を紹介しており、2024年8月時点で744件を公開しています。この数は本地域の文化財の潜在的な数からするとまだまだ一部であり、順次追加登録を進めることにしています。 本マップの便利な点は、訪れた地域で目にした石碑や建造物等について、登録されたものであればスマートフォンで手軽に内容を確認できるところです。 私自身も町内の石碑の碑文を確認するのにしばしば使っていますし、町内の車道を走っていると偶然、道端の石碑の前でスマートフォンを片手に眺めている人を見かけました。本マップを利用して石碑巡りでもされていたのでしょうか、そんな姿を目にすることがありましたね。 本マップの利用度については、奥野教授の報告によると、年間アクセス数は3万件台で安定して推移しています。私としては非常によく利用されていると感じています。 ここでちょっとした使い方をご紹介すると、カテゴリの「碑・像」をクリックすると今金町付近では次のように表示され、町全域にわたって面的に分布する様子がわかります。 それぞれクリックすればわかりますが、この地域の場合、これらの碑の大半は馬頭観音碑なんですね。このことから、町の全域にわたって農耕馬が多く飼養されていたことがうかがわれますし、関連資料を調べると、昭和時代初期には町内7地区のすべてで輓馬大会が行われていたという記録があり、こうした碑の分布傾向ともよく合致します。 次の写真は、馬頭観音碑のある高台から眺めた今金町神丘地区の風景です。この一帯は開拓前は鬱蒼とした原生林が広がっていたところですので、現在見られるこうした広大な農地は、実は馬という原動力によって開拓が成し遂げられたことも見えてくるわけです。 さて、本マップはこのように地元学芸員の地道な登録作業によって支えられているのですが、学芸員不在等の理由で登録件数が希薄な地域があるのも事実です。こうした地域については今のところ、近隣自治体の学芸員で手分けをし、合間を見て登録作業を進めているところです。 ウェブマップ「南北海道の文化財」は渡島・檜山全18市町をカバーするものでなければなりません。当協議会の事務局を務める私としては、各地域の学芸員の理解と協力のもと、それぞれで登録を地道に進めてもらうとともに、希薄地域を少しでも減らし、システムとしての完成度を高めたいと考えています。 本サイトをご覧になれば、まだまだ改善すべき点も多々感じられることでしょう。より使いやすいものに改善したいと思っていますので、これからの進展を見守って頂ければ幸いです。 #
by dounan-museum
| 2024-08-10 17:26
| コラムリレー
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みなさん、こんにちは。 七飯町歴史館です。 蝉の声が近くでも響いております。 さて、当館ではテーマ展「すだく虫、めづる人」を開催しております。 80箱ほどの昆虫標本を展示しつつ、虫に関係する言葉や、 民間信仰、伝承も紹介しようと試みたものになります。 日本産のチョウ全種類のほか 蛾・カマキリ・甲虫類、 外国産の昆虫も取り揃えました。 また、夏休みということもあり、 子どもむけの体験コーナーもあります。 そして、文学や虫に関する成句、詩歌、漢字表記など、 理系が好きな方だけではなく、文系の方も楽しんでもらえればと思います。 【期 間】 令和6年8月3日(土)~9月23日(月・祝) 【休館日】 月曜日(ただし8/12、8/16、9/23をのぞく)、8/13、9/17 【観覧料】 無料 【時 間】 9:00~17:00 【場 所】 七飯町歴史館企画展示室 #
by dounan-museum
| 2024-08-03 10:26
| 七飯町歴史館
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by dounan-museum
| 2024-07-30 14:35
| 北斗市郷土資料館
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